ISUCON × AI AGENT / FIELD NOTES

2025年7月〜2026年10月の記録 · 2026.10.30 調べ

AIエージェントとISUCON、21の実践記録

ISUCONは2025年に開催を休み、ISUCON2026として戻ってきます。その間に、AIエージェントを使ってチューニングに取り組んだ記録が数多く公開されました。AI無制限の非公式大会の参戦記、過去問を解かせた実験、準備の工夫まで、出典リンクつきで整理しています。

21

紹介する事例。うち9件がISUNARABE合同演習2026

21,537,000

ISUNARABE合同演習2026の優勝スコア

8 / 20

同大会で0点に終わったチーム

01 · 大会

AI無制限の8時間で何が起きたか

2026年5月9日、KOBA789さんが個人で主催した非公式大会「ISUNARABE 合同演習2026」は、AIエージェントの利用を無制限にしたISUCON形式のコンテストでした。参考実装はRustのみ、20チームが参加しています。上位は2,000万点台に並び、8チームは0点でした。

  1. 1 ゲームセンター ヤギ 21,537,000
  2. 2 山形組solo 21,087,000
  3. 3 oops 20,546,000
  4. 4 trasta 19,170,000
  5. 5 nil 19,039,800
  6. 6 fujiwara 17,523,000
  7. 7 ベンチマーカーの機嫌取り 17,169,000
  8. 8 sorah.jp 14,165,000
  9. 9 overcached! 5,176,800
  10. 10 ゆるっと 3,632,000
  11. 11 ウェッブ初心者 1,038,900
  12. 12 oribe 205,000

0点inductorジャバへの感謝五十肩daku101人でもAIと一緒だよ会天体可観測ミラクルみらくいちゃんのわくわくワンダーランドra

出典: KOBA789 さんによる最終順位の投稿。リンクのあるチームは下の事例で紹介しています。

02 · 事例

21の事例

種類ごとに日付順で並べています。スコアは出典に書かれた値をそのまま載せています。環境や条件が違うため、事例どうしのスコアは比べられません。

種類
エージェント

21 / 21 件を表示

9件ISUNARABE 2026 参戦記

No.01

大会

19,170,000

4位

trasta

Codex 一本、1行もコードを読まずに4位

題材
ISUNARABE 合同演習2026
道具
競技サーバに Codex を直接インストールし、Codex app から SSH で接続
  • Rust → Go への書き換え、DB再設計、ベンチの自動化まで丸投げ
  • 「過去の攻略ブログも調べて」のような粒の大きい指示から「MySQLを捨ててall cacheへ」という方針転換が出た
  • 感想は「知識がなくても途中までは行けるが、トップ争いには人間が方針を示す必要がある」

No.02

大会

017,523,000(0から17,523,000へ)

Go移植直後は0点

6位

fujiwara

「コードも設定も全部Claude」、作業ログ34本で6位

題材
ISUNARABE 合同演習2026
道具
Claude。最初にRust → Goへ移植し、MySQLは維持。nginx / webapp / MySQL の3台構成
  • 「1作業=1ファイル」の作業ログに、目的・変更前の計測・変更内容・変更後の計測・次のアクションを記録
  • 失敗やrevertも「なぜ効かなかったかが資産」として残す
  • 参加者リストのキャッシュで649万点、MySQLを専用機に移して1,134万点
  • ベンチマーカーのETag厳密照合で、画像のnginx直配信を差し戻した記録もある

No.03

大会

1.3M0(1.3Mから0へ)

途中2.0Mまで伸ばした後に0点

チーム「ジャバへの感謝」

rail44(kuwa_tw)

自作オーケストレータで並列開発、そして0点

題材
ISUNARABE 合同演習2026
道具
自作の Claude Code オーケストレータ(Claude同士の起動、セッション管理、相互メッセージ)
  • 実装担当と解析担当のClaudeを常時走らせ、ベンチ結果とスロークエリログの受け渡しまで自動化
  • 3台分散とハッシュシャーディングに振り切ったところ、ロック競合で0点に
  • Claudeの提案はISUCONには「マトモすぎる」。エージェント同士の会話がむしろ堅実さを強めた
  • 上位チームのように「インメモリに振り切る」と早く断言できなかったのは、人間側の知見の問題だった

No.04

大会

39,10021,537,000(39,100から21,537,000へ)

最終順位表の1位スコア

1位とみられる

ichyo

isudeck で「AIにサーバを壊させない」運用を敷く

題材
ISUNARABE 合同演習2026(Rust参考実装)
道具
Codex(GPT-5.5。重要な場面は xhigh、それ以外は medium)
  • 複数のAIが同時にデプロイしないよう管理するサービス isudeck を準備期間中にAIに作らせた
  • 変更はリポジトリ経由のみ。artifact化 → deploy → bench → PR のワークフローを強制
  • 最初に「速くする」より「壊しても戻せる」状態を作ったのが最大の効き
  • 「AIを使うISUCONでは、仮説や制約を文章にする力、止めるべきところで止める力が効く」

注: 記事中に順位の明記はない。スコア推移(2,160万点台)と順位表、チーム名の由来から1位と推定。

No.05

大会

38,30021,087,000(38,300から21,087,000へ)

553倍

2位(ソロ)

nihen(CHIBA Masahiro)

Claude Code が全作業を主導し、ソロで2位

題材
ISUNARABE 合同演習2026
道具
Claude Code(Opus 4.6)がメイン。Codex を別worktreeで並走、GPT-5.5 Pro をセカンドオピニオン、7エージェント並列のコードレビュー
  • CloudFormation構築、perf / alp解析、デプロイ、スタック削除までClaude Codeが実行。人間はレビューと方針決定に専念
  • 74コミット中7回をrevert。「雑に試して数字で判断し、ダメなら捨てる」を徹底
  • Codexに「理論上最速にするためのプラン」を書かせ、それを全作業の骨格にした
  • 参戦記はClaude Codeの一人称で書かれ、実際のプロンプトも時系列で公開

No.06

大会

5,176,800

9位

edge2992(overcached! チーム)

100万点まではAI任せ、その先は人間が分析

題材
ISUNARABE 合同演習2026
道具
3人チームで Claude Code(Max 5x プランの5時間制限分ほど)
  • N+1解消、インデックス、MySQL / nginx設定はClaude Codeがほぼ一度で実装し、100万点台まで到達
  • 200万点台で停滞してからは、人間がalpやスロークエリログで方針を決め、実装だけを任せた
  • DBロックをアプリ側mutexに置き換えるような「ISUCONなら許される割り切り」は、CLAUDE.mdに判断基準を書く必要がある
  • 別メンバーのClaude Codeがベンチ中にデプロイする事故が何度も発生。デプロイとベンチのロックが必要

No.07

大会

fail

参加者で唯一の fail

mazrean(INUCON チーム)

自作の計測基盤をエージェントにつないだが、唯一の fail

題材
ISUNARABE 合同演習2026
道具
Grafana / Prometheus / Pyroscope / Loki の自動計装環境をコーディングエージェント向けに調整
  • 以前から整備していた対ISUCON用の計測ツール群をエージェントに使わせる形で参戦
  • 改善案をmdにまとめて出力する工程に時間がかかり、そこが律速だった
  • 改善の精度では優位性があったので、セッション間のやり取りを削れば速くなる見込み

No.08

大会

0

終了後の再ベンチでは4,000,000点

0点(再ベンチなら10位相当)

天体可観測(msksgm、sunakan ほか)

オブザーバビリティの練習場として参加

題材
ISUNARABE 合同演習2026
道具
オブザーバビリティに関心のある3人のサークル。計装基盤を作ってから改善
  • 振り返りのKeepに「isu2.0(人間+AI)がワークした」「メトリクスでDBのサチュレーションを見つけて改善できた」
  • 計装に時間がかかり、500エラーを倒し切れなかった
  • 「スコアが出なければ勝負の土俵にも立てない」

No.09

大会

スコアの記載なし

作問・主催

KOBA789(主催)

作問そのものをAIエージェント主導で5日間

題材
ISUNARABE 合同演習2026 の作問
道具
Claude Code(Opus 4.7、1M context)が主ドライバ。Codex CLI をセカンドオピニオンとして必須レビューに
  • webapp、ベンチマーカー、AMI / CloudFormation まで、ほぼすべてをAIエージェント経由で作成
  • 主セッション53本、worktreeセッション10本を記録
  • 過去問5セットを5並列のsubagentで調査させ、実装 → 仕様レビュー → 品質レビュー → 修正の4段で回した(計20体超)
  • 主催者のおすすめは「Codexにレビューさせる」「CLAUDE.mdに設計の判断基準を数行書く」

9件過去問をエージェントに解かせた実験

No.10

過去問

1,81050,280(1,810から50,280へ)

当時のオンライン予選2位相当

tjmtmmnk

Mackerel MCP で計測をエージェントに渡す

題材
ISUCON9 予選
道具
Claude Code + Mackerel MCP(ホストメトリック、OpenTelemetryトレース)
  • 「スコアを最大化せよ」系のプロンプトを31回繰り返しただけ
  • 統計情報 → マニュアル読解(Campaignの調整)→ pprof と、段階的に改善が進んだ
  • 「1つずつ変更して確かめる」「マニュアルをちゃんと読む」を指示に入れた
  • ログイン処理だけを別サーバに分ける、といった構成変更は最後まで出てこなかった

No.11

過去問

約3,500381,142(約3,500から381,142へ)

ベスト値。最終は377,410

本選2位相当

Junya Yamaguchi(OpenJNY)

Azure SRE エージェント単体で本選2位相当

題材
ISUCON13
道具
Azure SRE Agent + 自作の ISUCON MCP Server。渡したのはマニュアル2種とツールガイドのみ
  • 攻略情報も過去問の傾向も与えず、HTTPトリガーでキックしたあとは5〜6時間自律で動作
  • N+1解消、オンメモリDNSサーバの自作、3台の役割分担まで自力で到達
  • 改善アイデアが出尽くすと停滞する。事前のナレッジや検索ツールの補助が必要

No.12

過去問

1,2843,072,854(1,284から3,072,854へ)

手元で再構築した公式ベンチの値

pikachu0310

Codex(5.6 Sol / Extra High)で 2,393倍

題材
ISUCON11 予選
道具
Codex、モデル 5.6 Sol、推論設定 Extra High
  • スロークエリ改善 → condition履歴のメモリ化 → 3台構成 → 最新conditionの非同期push → 二段階登録・公開
  • 成功・失敗・不採用を含む62回の実験をすべて SCORES.md に記録
  • 測定条件が違うスコアは単純比較せず、同じ測定経路の前後で判断

No.13

過去問

12,136445,684(12,136から445,684へ)

ISUCON13の値。private-isuは0 → 541,650

ekusiadadus

自作プロファイラと、マルチエージェント構成の比較実験

題材
private-isu / ISUCON11予選 / ISUCON13 / ISUCON14
道具
Claude Code と Codex でプロファイラ isutools を1日で開発。比較実験は Codex(Astra単体 vs Astra+Sol)
  • isutools開発の進め方:設計書を最初にコミット、TDDとrace detectorをマージの関門に、ツリーを触るエージェントは1体まで
  • ISUCON11予選を3時間ずつ比較:再起動後スコアは単体1,636,308、複数885,334。複数側は50万点到達が約27分早い
  • ISUCON14ではCodexの3時間実験(133,401)と過去のClaudeの記録の差を、条件の違いから分析

No.14

過去問

3,371約27,900(3,371から約27,900へ)

ISUCON13、MySQL分離後

itohdak

7つの役割に分けたサブエージェントで改善ループ

題材
ISUCON13 / ISUCON14
道具
AGENTS.md で Profiler / Resource Monitor / App Understanding / SQL / Implementer / Verifier / Recorder を定義し、汎用サブエージェントを並列に派遣
  • 最初に作ったPythonのMCP / オーケストレータ層は実運用に合わず、archiveへ移した
  • 10回のループ中、エージェントがアクセスログやスロークエリログを実際には取得していなかったことに人間が後から気づいた
  • ISUCON14ではマッチングをハンガリアン法による全体最適に置き換える実験も

No.15

過去問

2,8747,182,440(2,874から7,182,440へ)

3台再起動後も7,024,602

kyosu-1

計測 → 改善のループを Claude Code が回す

題材
ISUCON11 予選
道具
Claude Code。ナレッジを .claude/skills にskill化。環境はコマンド一発で構築する自作CLI isuenv
  • スコアの推移と「効いた理由」を表で全件記録
  • 途中からベンチマーカー側が先に飽和し、ベンチ機の負荷を下げる工夫がスコアに直結
  • レギュレーションの解釈が割れうる設定は、環境変数で切り替えられるようにして明示

No.16

過去問

スコアの記載なし

__cp20__

ISUNARABEの問題を解き直し、優勝スコアの10倍超

題材
ISUNARABE 合同演習2026 / ISUCON12 本選
道具
記載なし
  • 練習としてISUNARABEの問題を解き、8時間ほどで優勝スコアの10倍以上を出した
  • ISUCON12本選ではほぼ理論上の上限スコアに到達。ベンチ開始40秒ほどで負荷がほぼゼロに

注: X上の短い報告のみ。手法の詳細は書かれていない。

No.18

過去問

スコアの記載なし

const_myself

インスタンス作成から全自動で、20分で過去の自分超え

題材
ISUCON13
道具
記載なし
  • 過去問インスタンスの立ち上げを含めて全自動で検証させ、20分ほどで当時の自分の点数を超えた
  • 当日は、ダッシュボードを監視して順位を実況するエージェントを作る構想も

注: X上の短い報告のみ。

3件準備・学習のための工夫

No.20

準備・学習

スコアの記載なし

m8i-51

AIに渡すための計測パック isuctl

題材
ソロ参加向けのループキット
道具
手元から SSH / rsync で競技サーバを操作する薄いCLI。Cursor / Claude Code が読む前提
  • discover → sync-down → 編集 → deploy → bench → pull → analyze → pack の流れを1つのCLIに
  • 主成果物は out/pack.md。AIには「仮説を1つだけ直させる」
  • 上がれば残し、下がればrollbackする判断は人間が持つ

No.21

準備・学習

スコアの記載なし

wabi1318

Codex を家庭教師にするISUCON学習ログ

題材
ISUCON初心者の学習
道具
Codex がロードマップ・復習・次の課題を管理。練習環境は topi-log/isucon2026-team-sakaguchi
  • 「今日やることを教えて」と送ると、期限の来た復習と次の課題を5〜15分単位で案内
  • 用語 → 基本操作 → 実際の設定を読む → ログ観察 → 原因を考える → 一変更一計測、と実環境へ近づける

03 · 横断

事例を横断して見えたこと

複数の記録に共通して出てきた知見です。根拠にした事例へリンクしています。

  1. 01

    まず「壊しても戻せる」を作る

    上位チームは、AIに速くさせる前に、変更をリポジトリ経由に限定し、デプロイとrevertを手軽にしていた。

    根拠: No.04 ichyoNo.05 nihenNo.02 fujiwaraNo.20 m8i-51

  2. 02

    計測をエージェントが読める形で渡す

    MCP経由のメトリクス、AI向けにまとめた計測パック、自作プロファイラなど、計測の渡し方に工夫が集中している。渡したつもりで実は取れていなかった、という失敗も報告されている。

    根拠: No.10 tjmtmmnkNo.11 Junya YamaguchiNo.20 m8i-51No.13 ekusiadadusNo.14 itohdak

  3. 03

    100万〜200万点の壁は人間の方針で越える

    典型的な改善はAIがほぼ一度で終わらせる。その先の「インメモリに振り切る」ような大きな割り切りは、人間が言い切った例が強い。

    根拠: No.06 edge2992No.03 rail44No.01 trasta

  4. 04

    エージェントを増やせば速いとは限らない

    複数構成は立ち上がりが速い一方、最終スコアは単体が上回った実験がある。エージェント同士の会話で提案が保守的になった例もある。

    根拠: No.13 ekusiadadusNo.03 rail44No.14 itohdak

  5. 05

    同時デプロイの衝突は仕組みで防ぐ

    人間同士の声かけで済んでいた調整が、AIの速さで破綻する。デプロイとベンチのロック、ツリーを触るのは1体まで、といったルールが必要。

    根拠: No.06 edge2992No.04 ichyoNo.13 ekusiadadus

04 · 関連

関連リンク

事例としては数えなかったものの、あわせて読むと流れがわかる資料です。